ストレッチと筋トレはどちらを優先した方がいいの？

さて、なぜこの題材の意見が割れてしまうのか？

今回は、「ストレッチと筋トレはどちらを優先したらいいの？」をテーマに理学療法士の観点から出来るだけ簡潔に書いていこうと思います。

セラピストによっても意見は割れる

リハビリ業界において、施術方法（手技）は100種類以上あり、施術法によって考え方はまちまちです。

専門家であっても意見が割れる為、運動やストレッチの方法に多様性が生まれるのです。とはいえ、膨大となった運動のやり方ゆえに何が自分にとって良いのか悪いのか（悪いことはない）わからなくなるんですね。

私は様々な研修会に参加して学んできました。お互いがお互いを引き合いに出してこっちのやり方が正しい！って主張する人が多いんですよ。

リハビリは、科学的根拠に基づくと言うものが骨幹にある必要があります。そこはもちろん共感します。

しかし、治療法は沢山あり、文献は星の数ほど存在し、かつ治療効果はあるなと感じていても科学的根拠を示せない治療法だって多く存在しています。

あれがいいこれがいいという話は置いといて、当然ながらみんな体は異なるので、治療に対する反応も違って当然なんです。

なのでいろんなやり方や引き出しがある方が私はいいなと思っています。

根本的な理屈は頭にいれてそれから外れさえしなければいいと思います。

その理屈を皆さんにお伝えできればいいなという思いです。

その理屈が伝わって、自分の中で納得して運動やストレッチができるようになれば、自分自身の体と向き合えるのかなって思います。

どちらかを優先する場合

どちらかを優先する場合について話していきます。

筋トレを優先する場合

□メリット

運動することにより筋肉の収縮・弛緩を繰り返すことで筋肉は柔らかく血流も改善し、かつ筋力もつけば体は扱いやすくなる。

■デメリット

筋トレする部位や運動が偏るとかえって姿勢が悪くなったり、筋肉がつきすぎてかえって動かしにくくなることもある。

ストレッチを優先する場合

□メリット

筋・筋膜や結合組織の伸長性が向上することで可動域が改善され、体も扱いやすくなる。またそれと同時に筋肉も柔らかくなり血流の改善も期待できる。

■デメリット

姿勢不良の原因の一つに筋力のアンバランスがあるのでストレッチだけでは根本的な治療にならない場合もある。

今のところ、筋トレ優先が優位ですかね、、、

ストレッチと筋トレのどちらを優先した方が良いのかの理屈

ところが、私としてはストレッチを優先した方が良い根本的な理由があります。

それは、ストレッチをしないと目標の筋肉の収縮をうまく引き出してあげることができないことがある為です。

つまり、筋肉の硬さによる可動域制限で目的の動きが出来ないために筋肉の収縮が抑制されてしまうのです。

例えば、猫背において肩甲骨を内側に寄せる筋肉を鍛えたい場合に小・大胸筋や肩甲下筋、広背筋などの肩甲骨を外側に引っ張る筋肉が邪魔をして、僧帽筋中・下部繊維や菱形筋の収縮を引き出すことができないことが多々あります。

肩甲骨が外側に引き出されてしまっている人が肩甲骨を内側に寄せようとすると上内側に動き僧帽筋の上部繊維ばかりが収縮してしまいます。

その為、ある程度筋肉の伸長性を引き出してから筋トレをする方が良い場合も確かに存在するのです。

また筋肉の伸長性に関しては思っている以上にシビアであり、特に体幹の筋肉などは、常に重力や上半身の重さにより縦に押しつぶされるような力が常に働いています。

そうなると背骨はもちろん体幹の筋肉は硬くなり、伸長性が低下してしまいます。

ストレッチで筋肉の伸長性を引き出すようなこともやっておかないと容易に可動域の制限が起こるようになり、筋トレの質を落としてしまうのです。