周りを見回してみると猫背の方多くないですか?
逆に胸を張りすぎてるって人はあんまり見ないですよね、、
なんとなく猫背はダメ!!!
とはわかると思うのですが、具体的にどう悪いのでしょうか?
今回は、「猫背ってなんでダメなの?」をテーマに理学療法士の観点から出来るだけ簡潔に書いていこうと思います。
猫背になる原因
猫背な人って年々増えてる気がするんだけど、
気のせい、、、?
気のせいじゃないよ。
残念ながら猫背の人は増加傾向にあります。
これは現代社会における生活様式の変化がかなり影響しています。
これから原因について説明しますね。
わかりやすく頼むよ~~
猫背の人が年々増えてきている印象なのですが、原因は一体何なのでしょうか?
それは大まかにいうと、
背骨の構造的問題
体の前で行う動作が多い
運動不足
などがあります。
少し詳細に書きます。
背骨の構造的問題
骨格を横から見ると、背骨はS字状の弯曲となっています。
胸の高さの骨が生理的に後に凸の弯曲をしている為に、重力の影響を受け体は曲がりやすくなっています。
人は立っているだけでも上半身の重さや重力の影響を受け、歩く時には体重の1.2~1.5倍の負荷が床反力として(地面から伝わる力)背骨にかかるといわれています。抗重力姿勢(立位・座位)をとっているだけでも体には上下に圧縮する力が働き、背中は曲がりやすくなります。
また、上半身の重さや重力の影響により、背骨に上下の圧縮負荷かがかかり続けると骨と骨とが接近した状態で筋肉が硬くなり、体を伸ばす動作を行うことだけでも余分な力が必要となります。これらを伸ばさずに生活することで体が疲れやすかったり、様々な筋肉や関節に影響を起こす原因となるのです。
体の前で行う動作が多い
PCやスマホなしの生活は考えられない!というような人も多くなっています。
PCやスマホ使用の際、無意識に顔が前に出る姿勢をとりやすく、また目の酷使によって首の後ろの筋肉が緊張し硬くなります。また体の前で行う動作が増えたことで、極端にいうと体の前面の筋肉と後面の筋肉とで筋力のアンバランスが起きてしまうのです。
筋肉には「主動作筋」と「拮抗筋」というものがあり、
簡単に言うと、肘を曲げる動きの主動作筋は「上腕二頭筋」、拮抗筋は「上腕三頭筋」のように正反対の動きをするように対となっています。
もしその対となる筋肉のうちどちらかが強すぎると関節は強い方へと引っ張られることとなります。
PCやスマホの使用、デスクワークなど体の前で行う動作が多いと、
その動きの主動作筋をどんどん使うこととなり、その拮抗筋との筋力がアンバランスとなります。その結果として猫背となってしまうのです。
運動不足
特に最近では、コロナウイルスの影響もあり、外出する機会が減少していることから体を真っ直ぐに維持する筋肉が弱化してしまいます。
元々、ヒトは立位を保持する際、筋肉を出来るだけ使わずに立つという省エネな方法をとっています。それは靭帯や関節包を静的な支持に利用してるのです。しかし、これらは体が真っ直ぐである場合に働き、不良姿勢となるとこれらを利用することが出来ず、筋肉で保持せざるおえなくなります。
姿勢を維持する筋肉の中でとても重要な筋肉としては、様々あるのですが、この中でも特に重要なのは単関節筋と呼ばれるものです。
単関節とは文字通り一つの関節を指し、これとは対称に、多関節とは2つ以上の関節を指します。
単関節筋とは一つのみの関節を跨ぎ作用する筋肉です。
背中に付着する筋肉のうち、単関節筋として多裂筋、多関節筋として最長筋と呼ばれる筋肉があります。
どちらも同じく背中を伸ばす筋肉なのですが、なぜ単関節筋(多裂筋)が重要なのでしょうか?
それは背中の伸ばす作用に違いがあるからです。
弓を引くことを想像してみましょう。
弓を背骨、弦を多関節筋(最長筋)だとすると、この状態で弦を引くと背骨がかなりしなることとなります。つまり体は大きく反らされてしまうのです。
単関節筋(多裂筋)は単関節或いは二関節程度に影響を与えるので反らすような伸ばすではなく、体を垂直に伸ばすという動きに重要なのです。
また筋肉には赤筋と白筋という魚でいうと赤身と白身があります。
赤筋は持久性に向きます。
姿勢を維持する単関節筋は持久性に向く赤筋を多くもち、ダイナミックな関節の動きに必要な筋肉である白筋は持久性には劣ります。
姿勢保持に重要な単関節筋が弱れば、自ずと白筋に頼ることとなり、持久性に向かない白筋は疲労しやすく問題が出やすくなるのです。
なぜ赤筋は赤いのか?
「ミオグロビン」という血液中の酸素を運ぶ「ヘモグロビン」の親戚みたいなものが筋肉細胞の中に存在する為です。これは酸素をある程度蓄え、持久的な運動の補助をします。
猫背になると、、、
結論から言うと、猫背になると首・肩こりや腰痛のみならず、肩関節周囲炎(四十肩や五十肩)、頚椎症、腰痛症、変形性膝関節症など全身に悪影響が及びます。
もちろん、猫背だからといって必ずそうなるわけではありません。しかし、筋肉や関節の動きに影響が出ることで少なからず、負荷が蓄積してしまいます。
それらの負荷が関節の構造に影響を与えることで変形性関節症、炎症が起これば肩関節周囲炎というように種々の病気へと移行してしまうのです。
猫背による姿勢の変化
猫背では背中が曲がる為、目線は下を向くことになります。
この目線のままで日常生活を過ごすことは困難な為、正面を見る為に首や腰の後ろの筋肉を過使用することとなります。腰の筋肉の使い方に関しては、猫背の程度にもよりますが、軽度であれば反り腰、より強くなってくると腰を丸めて支えるようになります。いずれにせよ筋疲労や血行不良となり、腰痛となりやすくなります。
つまり、猫背による首肩こりや腰痛は体が前に倒れたものを戻そうとする為に筋肉に負担がかかってしまったことによる副産物といえます。
すべての首肩こりや腰痛の原因が猫背というわけではありませんが、これによるものが大半を占めます。
最近では、ストレートネックという首の骨の弯曲が少なくなる人が多くなっていますが、これも猫背と相関するものがあります。
背骨の弯曲は、バネをイメージすると分かりやすいですが、サスペンション機能(衝撃吸収)も持っています。もしも背骨の弯曲がなくなってしまうと骨そのものへの負担が強くなります。猫背となるとこれらの弯曲にも影響が出てしまうのです。
猫背というと、背中が丸くなって弯曲が大きくなるイメージかもしれませんが、首の骨はストレートになり、腰の骨は弯曲の減少あるいは増強が起こります。
ここで考えて欲しいのは、猫背になってしまうことで他の箇所にも影響が波及してしまうということです。
このようにたかが猫背と思って放置していると、様々な不調の原因となる為、注意が必要です。
なるほどねー。
でもこれってしょうがなくない?
みんなPCもスマホも触るし、生活できないよ。。。
そうなんです。
残念ながら現代の日常生活の動作は猫背になる要因ばかりです。
ですから、これらの要因に対してセルフケアを習慣的に行っていく必要があります。
セルフケアのやり方なんかも載せていくので、そちらも見てみてね。